対談 薬に頼らない身体づくり

ハーブティー、お茶で薬に頼らない身体づくり

御殿場のお茶[ハーブティー、日本茶、コーヒー、紅茶、中国茶]のお教室

対談
「薬に頼らない身体づくり」

一般社団法人ティーコンシェルジュ協会御殿場校の開校にあたり、私の師であり、ハーブティーはもとより日本茶、コーヒー紅茶、中国茶も含むお茶ののスペシャリストである、一般社団法人ティーコンシェルジュ協会の作山若子会長との対談が実現しました。
お茶で家族の健康を守れることや、薬に頼らないためには何をすべきかなど、作山会長に詳しくお話いただきました。

薬に頼らない身体づくりの原点

一般社団法人ティーコンシェルジュ協会作山若子会長

林御殿場校校長(以下、林) 作山会長とお茶との出会いは、いつごろだったんでしょうか?

作山会長 私は幼少期から身体が弱くてアレルギーも多く、西洋医学にずいぶんお世話になってきました。そのいっぽうで副作用もあったんですよね。

いちばん大きなきっかけは、私が中2のときに、父が脳梗塞で倒れて余命半年と宣告されたことです。その後、父は薬のおかげで宣告された期間を過ぎても生きていましたが、薬への耐性ができてしまったせいで大量の薬を服用しなければいけないことにも抵抗がありました。

私と母は、野菜スープやアガリクスなど、当時から効果があると言われていたものをできる限り父に食べさせようと持って行きましたが、美味しくないものは食べてくれなかったんです。

11年間勤めた会社を退職し独立してから、中国高山地の韃靼地方でタタール人が食べていた蕎麦粉をお茶にできないかと、北海道の有機農家で蕎麦の実を栽培しました。ルチンという脳梗塞にいいポリフェノールの成分をなるべく減らさないように焙煎のテストを繰り返し、約1年後にようやく完成したのが「まるごと韃靼蕎麦茶」です。たった1杯のお茶で、ざる蕎麦4枚分のルチンが摂れるんですよ。

私は飲料メーカーに就職しました。その当時、コーヒーは胃がんにいいという文献と、コーヒーを飲むとがんになるという文献の両方があったんですね。そんなことから「コーヒーやお茶ってなんだろう?」という疑問が自分の中にあって、長きにわたって独学で勉強を続けました。

父は宣告された余命をずいぶん過ぎても健在でしたので、完成した「まるごと韃靼蕎麦茶」を飲ませたら、「何だこのお茶! 香ばしいなぁ」って飲んでくれたんですね。家族が「身体にいいから」とか「薬だから」と飲むように勧めても、美味しくないと続きません。ですが、気に入るとごく自然に飲めるんですよね。薬は大事ですが、まずは病気にならないように、そして薬に頼らず、水溶性食品のお茶という手軽なもので補えないかと、産地や栽培方法にもこだわり、栄養価が高いものを提供しています。

 私は漢方とハーブ、お茶を合体したカフェを開きたかったんです。それでもお茶やハーブティーの淹れ方や、効能、効果もよく知らなかったので、勉強を始めました。今はいろんなカフェがありますが、若者主体のお店が多くて、年配の方に向けたカフェってあんまりないんですよね。地域の方たちが気軽に立ち寄れて、コミュニティーが形成され、なおかつ身体の相談をしながらくつろいでもらえる、そんなカフェにしたいと思い描いたときに、まずは学ぶことが大事だと実感しました。

最初は、自分が教室を開くところまでは考えていませんでしたが、ティーコンシェルジュ3級の勉強を始めたら想像以上に面白くて、2級でさらにのめり込み、今は1級取得に向けて勉強中です。それだけ奥が深い世界なんです。

薬剤師だからこそティーコンシェルジュ協会の理念に共感

一般社団法人ティーコンシェルジュ協会 御殿場校校長 林素真子

作山会長 林先生は薬剤師であり、ティーコンシェルジュでもあるんですよね。協会がティーコンシェルジュとしていちばん大切にしてほしいのは、ご自身の五感で身体の声に耳を傾けられる状態であること。

例えば手が傷ついてたら、他者からも見えるし自分でも気が付きますよね。でも心の傷は他者からは見えづらく、自分でも見落としてしまいがちです。

ハーブティーがお水と大きく違うのは、ハーブティーの湯気には揮発性の成分がいっぱい含まれていて、脳にもいい影響を与えるんですよ。そして、自分の脳や遺伝子に合うブレンドを作り出せるのが、ティーコンシェルジュ。今の自分の体調や、心の状態に合わせた1杯を作ることができるんですね。

 薬を調合するのと同じように、体調に合わせたブレンドを作れるんですよね。

作山会長 そうです。でも薬と違うのは1日に何度も飲めること。落ち込んだときや、食欲が止まらないとき、逆に全く食欲がないとき、どんな気分のときでも自分の身体が欲するものを作り出せるんです。

 体調によって欲するものをおいしく感じるのは、薬と同じだと思いました。薬や栄養ドリンクも、身体が欲してるときは不思議とおいしく感じるんです。例えば貧血の方が鉄分の多いレバーのような薬を美味しく飲んでいるのですが、貧血が改善してくるとまずく感じるようになるんですよ。疲れていて乳酸がたまっているときは、酸味があるハーブティーを美味しいと感じることもあれば、酸っぱすぎて飲めないと感じるときもあります。

作山会長 自分の身体が欲するものは美味しいと感じたり、また食べたいと思いますけど、そうじゃないものはいらないと感じますよね。これは年代によっても変化するんですよ。若いときは生クリームのケーキが大好きだったのに、それほど食べなくなったり、逆に魚の干物なんて全然好きじゃなかったのおいしく感じるようになったりしますよね。私たちは日々食べたものから細胞が作られていますが、身体が必要として摂取するものは、年代によって変わっていくんです。

一杯のお茶で守る家族の健康

 私のいとこは昔から静岡県内でお茶業を営んでいましたので、小さいころから新茶の季節になると茶摘みや茶葉を蒸すお手伝いに行っていました。静岡県はお茶どころで富士山系のお水が豊かなので、美味しいお茶を淹れるには適した場所です。そこで地域のみなさんが作っているもので身体が健康になり、そのお茶を広めることで、産業が広がり地域も元気になる。とてもいいコンセプトだと自負しています。

うちの主人が悩んで眠れなかったときに、作山会長の「すこやかカモミール」というブレンドティーを飲んだら、よく眠れるようになって健康を取り戻しました。
別の女性は、2種類の睡眠薬を飲んでいたんです。緑内障なので片方の薬を飲むと眼圧が上がり、最悪、失明に至ってしまいます。それで相談されたのでカモミールをご紹介しましたら、1種類の薬をやめてよく眠れるようになり、休日はもう1種類も飲まなくて済むかもしれない、というところまで来ています。

作山会長 素晴らしいですね。林先生は薬剤師だから、より具体的な相談ができますよね。
たとえばビールや鰻が大好きな方はプリン体を多く摂りすぎて、尿酸値が高くなっちゃうんです。そういった方には、「杜仲葉茶」という杜仲の葉から作られているお茶をお勧めしています。ある方は、1日3回飲み続けたら、11だった尿酸値が5になり、お医者さんにびっくりされたそうです。ほかにも、「足が痛くて引きずるように歩いていたのが普通に歩けるように」なった方もいます。

食生活には、人それぞれ絶対的な好みがありますよね。私を例に挙げると、揚げ物が大好きで、とんかつならロースかつの脂身だけ食べたいくらいだし、ビーフシチューなら、すね肉の脂の部分だけ食べたいくらい(笑)。でも脂を摂りすぎるのは良くないですよね。そこで、必要以上の脂の吸収を阻害するお茶があるんです。

なぜお茶にこだわるかというと、例えば風邪をひいてビタミンCを補給するために、みかんを食べますよね。何個食べても、私たちの身体は必要なビタミンを吸収した後は、不要な分は排尿や排便で体内から排出します。しかし化学的に作り出したものは、異物として体内に残ってしまうんです。だから野菜や果物、そしてハーブティーがいいんです。ほかにも糖分を摂りすぎてしまう人、夜遅くに食べてしまう人、毎日ラーメンをつい食べてしまう人、それぞれに合わせたお茶もあるんですよ。

 今はスリムになりたいので、作山会長が作られたブレンドティーの「スレンダーフェンネル」を飲んでいます。タンポポの根がブレンドされていて、それがゴボウのような味がするんです。ちょっと苦手だなって感じる日は、緑茶とブレンドすると独得の香りがマスキングされて、おいしく飲めるんです。

作山会長 林先生をはじめ、それぞれの先生しか作り出せないブレンドがあるので、協会では毎年ブレンドコンテストを開催しています。

お茶は常に食事の脇役ですが、脇役なくして主役は成り立ちませんよね。日本だと焼き魚定食には日本茶じゃなければダメで、これが中国の緑茶では意味がないということを、先生方は学ばれています。
だからパスタが好きな先生なら、パスタの、しかもトマトソースに合うブレンド、ハンバーグなら和風ハンバーグなのかデミグラスソースかによってもブレンドを変えたりして、ティーコンシェルジュそれぞれのオリジナルブレンドができるんです。カフェをオープンするなら、林先生のカラーに合わせたオリジナルブレンドも楽しみですね

 私はローズとかカモミールとか、ふわっとしたフローラル系の香りが好きです。
中国茶だと凍頂烏龍茶を使ったりもします。私オリジナルのブレンドを作っていきたいですね。

子どもの情緒を育む家族とのティータイム

作山会長 今の子供たちはあまりにも情報過多の中で、身体にいい悪いの選別もなく、食べてしまいます。あるいは、あらゆる情報が溢れすぎて精神的に疲れてしまい、うつになったり不登校になってしまったりする。でも最初のきっかけは、食生活の乱れだったり、小さなことかもしれません。私は、母親が持つちょっとした知識が、子どもの人生を大きく変えるんじゃないかと考えています。

私たちはティーコンシェルジュとして、たった1杯のお茶の成分や香りで、お母さんや子どもたちを癒したり、足りない栄養素を補ったり、あるいはコミュニケーションツールとして家族間の不和の改善のお手伝いもできるんじゃないかという可能性を抱いています。

母は一家の太陽的な役割ですから、母や妻が変わればご主人もお子さんも大きく変わり、さらに社会全体がよくなりますよね。

 私が会長から教わったのは、まずお茶が入ったカップを持ち上げ、香りを鼻から取り入れます。口の中でフレーバーを味わい、ゆっくり飲みましょう、と。1日に1回や2回、自分のために入れた1杯のお茶を味わって飲むことによって、心が豊かになり、家族や子どもたち、おじいちゃん、おばあちゃんにまで気遣いができるような一家の主婦になれたらいいなと思いました。

作山会長 実際には1回2~3分、ご自身と向き合ってもらえれば、お茶の栄養素は20分で体内に最大濃度で吸収できるんです。

毎日、親子で3分でもいいんです。何か作業をしながらとか、背中越しに子どもの話を聞くのではなく、たった3分でいいから、しっかり子どもと向き合って話をしていますか?ということです。

実は香りと記憶は結びつきやすいというのは、脳科学でわかっていることです。私が子どものころ、母は急須でお茶を入れながら、「今日、学校どうだった?」と話を聞いてくれました。子どもは、今この時間は母が自分のためだけにこちらを向いてくれてると実感します。そうすれば、「今日、学校でね…」とか「これ、いい香りだね」とかお茶を通じてコミュニケーションが広がりますよね。

そのときの美味しい香りの記憶と、楽しかった母との会話の記憶、これが子どもたちの情操教育にすごくいいんです。これが親子ではなく夫婦だったり、あるいは認知症になりかけているお母様との関係にも当てはまると思います。お茶の栄養成分やアロマの良さもありますが、お茶はコミュニケーションツールとしても大事です。介護で大変な方もいらっしゃるでしょうし、母親世代にぜひ勉強していただいて、夫を支えたり、子育てにも役立ててもらいたいですね。

取り入れるのは身体にいいものだけ

作山会長 ティーコンシェルジュは、ホテルのコンシェルジュから由来しています。そのコンシェルジュのマークは「鍵」がモチーフなんです。相手の心の鍵を開けられる人のという意味合いなんです。
ティーコンシェルジュという商標を取るときに我々理事の中で考えたのは、あらゆる1杯のティーで相手の心の鍵を開けられる、それほどコンサルティング能力が高くコミュニケーション能力も高い、大きな指導者になっていただきたいという想いがありました。
ただお茶を上手に淹れるとか英国式のスタイルとか、そういうお話ではなく、もっと人格的なところに根差しているんです。

 お茶の技術は、心も伴わないと発展していかないということですね。

作山会長 茶道でも剣道でも「道」が付くものは、守破離という基本姿勢があります。師匠に習った流儀を守り、師匠の流儀を極めたら師匠のものを破って自分の作品を作り、さらに自分を確立し、そこから離脱する。これは人類の原点で、親からきちんと学びしつけを知り、自分で餌を取る方法を得た後、一度親に反発して離れて初めて自立する。これって代々続く親の仕事じゃないのかなって思います。我々は親という形を変えた指導者であり、最終的には、生徒さんにはどんどん独立してもらいたいんです。我々は黒子ですから。

 私独自のオリジナルブレンドとしては、いとこが営むお茶店のお茶を入れて、より多くの方に飲んでいただきたい。さらに地元・御殿場を元気にしたい! 静岡を元気にしたい! という思いが強いです。

作山会長 先生方からは、限られた量しか生産できないお茶や、伝統的に飲まれている非常に希少なハーブとかの情報をあげていただいてるんです。その後、専門家の我々が厳正にチェックをして、「静岡に、こんなにいいお茶がありますよ。使いませんか?」ってほかの先生方にも広めるんです。

 ただし何でも使うのではなく、会長のもとで品質を認めていただいた良質のものだけが使われているんです。だから私も生徒さんやカフェにいらっしゃるお客様に、「これは身体にいいお茶です」と胸を張って言えます。

作山会長のコンセプトは、「怪我をさせない」「身体にいいものしか取り入れさせない」という幹がしっかりしているんです。その幹さえブレなければ、自由に枝を伸ばしていけるかなと思っています。

作山会長 先生方にはよく話すんですけど、哲学も宗教もあらゆる学問の幹はひとつ。医学にしても栄養学にしても、全部枝にすぎません。その幹の原点は、人類が共存して幸せになることです。その幸せの価値観は権力だったりお金だったり、いろんな表現の仕方があるけれども、基本的にみんなが幸せになるために農業や工業があり、あるゆる人々が日々切磋琢磨しているわけですよね。ひとりひとり個性があり、同じ日本人でも好みは違うし、美しいと感じるものも違いますよね。それは先生方の個性だから大事にしていただいて、幹さえしっかり理解していれば自由に枝を伸ばし、どんな葉っぱも付けてもいいし、どんな花も咲かせるのもいいと思っています。
林先生がこれからどんな葉を付け、どんな花を咲かせるのか、楽しみにしています。

作山会長からのメッセージ

 林先生は薬剤師というのキャリアもお持ちで、3人のお子さんの母でもあります。すでにみなさん立派に成人し、自立されています。私にも娘がひとりいますが、子育ての成功は自立させることだと思います。いい大学やいい会社に入ることが最優先なのではなく、自分で食べていける力を身につけることなのではないかと。
たまたま勉強に興味がなかった、運動ができなかった、何か障害を持って生まれてきたとしても、その子にとってベストだとしたら、その状態をいかに維持できるかが重要です。我が子の幸せを願い子育てをするお父さんやお母さんたちへ、お茶を通して、食事や健康などについて知識や技能をお伝えすることで、親御さんもお子さんも含めご家庭にいい影響の和を広げることを目指しています。

それは私自身がPTAの役員を務めてきて、“親にもっと知識があったら良かったのに”と考えさせられたことがたくさんあったからです。

例えば、生後間もない赤ちゃんに添加物の入ったペットボトルのお茶をストローで飲ませていたり、大人用の頭痛薬を幼い子どもに飲ませてしまったり……。これらは完全に親の知識不足。我が子の安全を考えるなら、ペットボトルのお茶を飲ませるよりも、普通に淹れたほうじ茶を水筒に入れたほうが安いし身体にもいいよとか、そんな小さなことから伝えたいと思っています。

女性が好むフレーバーティーに使用されている香料などの添加物は、不妊の原因になるともいわれています。女性だけでなくコンビニのお弁当などで、知らないうちにとっている添加物も冷えの原因を作り血行不良を引き起こしますので女性のみならず男性が原因での不妊も多いと言われています。

しかしながら忙しい20代、30代の男女ともにコンビニ弁当を食べないようにということではなく、手軽に栄養素を摂れるお茶を一緒に飲んでほしいのです。
そんなことに自然に興味を持ってもらうために、ティーコンシェルジュ協会は全国に先生を増やしていきたいと考えています。

林先生のように、地域に根ざしておじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん方に伝えることで、子どもたちが健やかに育つ環境を作ることができると。林先生なら、きっと地域の大きな役割を担っていただけるのではないかと期待しています。